僕のうちはビニールハウス35棟と畑が15ヘクタールで経営している専業農家です。そんな僕の五年前の出来事です。
ある日、僕はビニールハウスエリアでしゃがみ仕事をしていました。すると、なんとなく視線を感じ振り返ってみると…あいつがいました。そうです。キツネです。
そこから、あいつと僕の数秒間の沈黙。その後、沈黙を破る僕の一言。「コンッ!!」。
するとあいつは、「はぁ?」っという表情。そうです。キツネはコンッとは鳴きません…。僕は、「しまった…コンッじゃない。…じゃぁキツネはどんな鳴き声だったっけ…?」等と考えているうちに、そこには、あいつの姿はもうありませんでした。
数日後、あいつは再び現れました。
ハウスエリアでパートさんと仕事をしていると、数人のパートさんの一人が「ぶんぺー君!!キツネっ!」っと一言。
その瞬間、僕は、あいつの方へスタートを切りました。
すると、あいつも僕から逃げるためスタートを切りました。
もちろん僕は追い着けません。
それでも僕は諦めない。走る。走り続ける。
ハウスエリアの次は畑エリア。
既にハウスエリアで見失ってはいたが、直感であいつの逃げた方向がわかった。僕は走った。手はパー。指はピーン。前後に腕を勢いよく振りながから、雄叫びのような声を出しながら走った。「うおぉぉぉぉぉー」
ハウスエリアを抜ける。
「いたっ!あいつだ!」
あいつは、まさかここまで来ないだろうと言わんとした雰囲気で畑の中にいました。
しかし、僕は、「うおぉぉぉぉぉー」っと叫びながらスピードを緩めることなく爆走。
そんな僕の叫びが聞こえたのか、彼の身体かビクッってなったのがわかった。あいつは、「えっ?マジ!?」っておもったでしょう。
そしてあいつは巣に帰って行きました。その日からあいつは来なくなりました。
これが僕とあいつのあの日とあの日です。
後日、近所おじいさんの家庭菜園のところに居るのをみました。
おじいさん…ごめん…。